住宅ローン35年と50年、どっちを選ぶ?月々返済・総返済額・60歳時点の残高を比較

住宅ローン35年と50年を比較する住宅イメージ 住宅ローン

住宅価格が上がるなか、毎月の返済額を抑えるために「50年ローン」を検討する人も増えています。

先に結論を言うと、50年返済は月々の支払いを軽くできる一方、総返済額と将来のローン残高が大きくなりやすい選択です。月額だけで決めず、60歳時点の残高、完済年齢、教育費や老後資金との重なりまで確認する必要があります。

この記事では、国土交通省が2026年3月に公表した資料をもとに、35年返済と50年返済の違いを初心者向けに整理します。

この記事は一般的な情報提供を目的としています。特定の住宅ローンや返済期間を勧めるものではありません。実際の金利、審査条件、手数料、団信、返済額は金融機関や個人の条件で異なります。

4,000万円を固定金利で借りた場合の比較

国土交通省のリーフレットでは、フラット35・フラット50の2026年3月金利を参照し、次のモデルケースを示しています。

比較項目 35年返済 50年返済
借入金額 4,000万円 4,000万円 0円
金利 年2.25% 年2.38% 50年が年0.13ポイント高い
毎月返済額 13.8万円 11.4万円 50年が2.4万円少ない
総返済額 5,783万円 6,845万円 50年が1,062万円多い
30歳で借りた場合の60歳時点残高 781万円 2,178万円 50年が1,397万円多い
60歳時点の残存率 20% 54% 50年は半分以上残る

試算の前提

  • 借入金額4,000万円
  • 元利均等返済
  • ボーナス返済なし
  • 団信加入
  • 融資率9割以下
  • 35年は年2.25%、50年は年2.38%
  • 金利は2026年3月時点

これは特定条件でのモデル試算であり、現在の適用金利や将来の返済額を保証するものではありません。

50年返済で月額が下がる理由

同じ4,000万円を借りても、返済回数を35年の420回から50年の600回へ増やせば、1回あたりの元金返済を小さくできます。そのため、毎月返済額は下がります。

ただし、返済期間が長いほど利息を払う期間も長くなります。商品によっては35年超の借り入れに金利が上乗せされるため、月額が下がっても総返済額は増えやすくなります。

50年返済で見落としやすい3つの点

1. 60歳時点で残高が多くなりやすい

モデルケースでは、30歳から30年間返済しても、50年返済の残高は2,178万円です。借入額の54%が残る計算になります。

定年前後に働き方や収入が変わったとき、返済額が同じでも家計に占める割合が上がる可能性があります。

2. 住み替えの自由度に影響する

家を売るときは、原則として売却代金などで住宅ローンを完済する必要があります。長期返済で元金の減りが遅いと、売却価格より残高が多い「残債割れ」になる可能性があります。

転勤、家族の生活変化、住まいの修繕など、将来の選択肢も含めて考えることが大切です。

3. 教育費と老後資金の準備が重なる

子育て世帯では、住宅購入後に教育費の負担が増える時期を迎えます。返済を長くすれば当面の月額は下がりますが、教育費が落ち着いた後も住宅ローンが長く残る可能性があります。

浮いた月額を生活費で使い切るのか、貯蓄や繰上返済の原資として残すのかまで決めておく必要があります。

35年返済を検討しやすいケース

  • 月々の返済を続けても生活防衛資金を確保できる
  • 完済時期をできるだけ定年前後に近づけたい
  • 総返済額を抑えることを優先したい
  • 住み替えの可能性があり、元金を早めに減らしたい

50年返済を検討するなら確認したいケース

  • 当面の返済額を下げる理由が明確にある
  • 金利上乗せと総返済額を確認している
  • 完済年齢と金融機関の年齢条件を確認している
  • 60歳時点など途中の残高を試算している
  • 浮いた金額の貯蓄・繰上返済方針を決めている
  • 収入減、修繕費、教育費が重なっても返済できる余裕がある

50年返済を選べることと、50年返済が家計に合うことは別です。「借りられる額」ではなく「生活を続けながら返せる額」で考えます。

比較するときの6つの質問

  1. 毎月返済額はいくらか
  2. 総返済額はいくらか
  3. 60歳・65歳時点の残高はいくらか
  4. 完済時は何歳か
  5. 教育費、修繕費、老後資金を同時に準備できるか
  6. 住み替えや収入減が起きても選択肢を残せるか

まとめ

35年返済と50年返済の違いは、毎月の2.4万円だけではありません。国土交通省の4,000万円モデルでは、50年返済は毎月額が下がる一方、総返済額が1,062万円、60歳時点の残高が1,397万円多くなっています。

返済期間を決めるときは、月額、総額、途中残高、完済年齢の4点を同じ表で確認しましょう。次は、借入額3,000万円台の返済額を金利・期間別に整理します。

参考資料

情報確認日: 2026年8月9日

 

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